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例えば食パンは、市場価格の三割安という値段だ。
メーカーが直接仕入れに応じるのは、同社が完全予約制を取っているので返品の心配がないからだ。
SLが顧客から注文を取り、一週間分の注文が横浜の本部に全て集められる。
メーカーは、注文のあった分だけ製造する。
できた商品は二日後に本部からSLに送られ、SLが自動車や自転車で顧客に配達し代金を受け取る。
無駄やロスのないシンプルな流通体系になっている。
このため、利益率も三八〜四二%と高水準だ。
また、「消費者である主婦が売る商品を決める」という点も「売れてしまう」理由である。
月に一回、一○人前後のSLが集まって「生活向上委員会」が開かれる。
ここでは各メーカーから取り寄せた商品の検討が行われる。
ここで認められた商品だけがカタログに掲載されるわけだ。
SLが一般の主婦であり、消費者でもあるからこそできるシステムまた、委員会で出された意見は、メーカー側にフィードバックされる。
この意見を基に改良した新商品が市販され、店頭に並ぶことも珍しくない。
メーカーにとっても貴重な消費者モニター的存在となっている。
「メーカーとの間で情報と商品の交流関係ができれば、自然と問屋はいらなくなる」(K社長)。
同じ主婦が販売員だから売れる高収入を支えるもう一つの理由、「売れてしまう販売方法」とは、売り手も買い手と同じ主婦であることだ。
「訪問販売と異なり、SLが回るのは友人の紹介先が大半を占めるため、安心感がある」。
そう語るK社長は、これまで大手スーパーや訪問販売会社などを渡り歩き、ありとあらゆる流通のしくみを見てきた。
その結果、「今後生き残る流通形態はこれしかない」と考えたのが「消費者が消費者に売る」という、現在の販売システムだ。
SLの一人、戸塚区在住のYさんは、「うちの食パンは水分を少ししか加えていないのでとてもおいしい。
他の多くの主婦にも食べて喜んでもらいたい」とサンプル品をいつも持ち歩いている。
「良い商品ならば、誰かに薦めたくなるもの。
うちは、そんな主婦のコミュニケーションを刺激する商品を提供していくだけでよい」(K社長)。
実際、顧客の中からSL希望者が絶えないという。
K社長に言わせれば「自然増殖的に増えていく」のである。
SLの収入は売上げの一○〜一五%で、多い人でも月五万円を稼ぐ程度だ。
洗剤や健康食品など、主婦販売員を使った既存の訪販システムに比べるとサクセスストーリー色は薄い。
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